省人化対策・セルフレジは客数減につながる!?客単価の高い店の導入は慎重に

省人化対策・セルフレジは客数減につながる!?客単価の高い店の導入は慎重に

このサイトのコラムを書くのは実に久しぶりで、前回はミニストップが成人誌の取り扱い中止の件についてだった。

まずこちらから検証してみると、私の店では雑誌の売上がかなり落ちた。とは言っても雑誌という紙媒体の衰退速度が速く、本当の原因はそちらだとは思うが、コンビニの主要客である5,60代男性の客単価は確実に落ちたように思う。

もちろんコンビニは小さなお子様からお年寄りまで来店されるわけで、一定の客層だけが求める商品でも他の客層が嫌悪するものは置かないというのも一つ考えではあるし、万人が受け入れる方向で業界全体が進むことは悪いことではないと思う。


しかし、世間を騒がせているコンビニの時短問題も元をただせば5万店以上あるコンビニが必ずしも画一的な枠に収まらなくなってきているからだし、そこにはオーナーのやり手不足、高齢化、後継者不足、店の立地や客層、過度なドミナント政策などの様々な問題が絡み合い、個店個店の経営事情の変化が表面化したからに他ならない。それぞれのお店に合った営業形態に各チェーン舵を取らないと店舗数の維持が難しくなっているのを考えれば柔軟に対応せざるをなくなるだろう。

…となれば、成人誌の取り扱いも個店の客層に合わせて取扱店があってもいいような気がするが…しつこいか(笑)

 省人化対策「セルフレジ」導入店の問題点

 コンビニ業界でもオーナーや従業員の負担軽減のために各社「省人化」対策に取り組んでいる。各社様々な工夫を凝らした対策を打ち出しているが、その中で「セルフレジ」を導入するチェーンもあるようだ。しかし、このセルフレジにはかなりネガティヴな話をよく耳にする。

 まずは導入時は全く「省人化」にはならない。むしろ人を増やさないと対応できない。特に中高年の顧客に操作のヘルプをする人員が必要になる。

 トラブルが起こった場合に従業員が対応することを想定するとやはり店には2名以上の人員が必要となる。確かにレジがスムースに回っていれば、レジには一人いればいいし、作業もはかどる。そういう意味では省人化にはなるが、人件費コストの削減にまでは至らないだろう。

 未成年者への酒・タバコの販売も対人販売だからこそ、コンビニに優先的に免許が下りている側面もある。町のたばこの自販機が少なくなってきているのも、そのためだ。セルフレジといういわば「ザル」を置くことによって未成年者への酒・たばこの販売が増加してしまえば、免許取り消しなど経営に大きな打撃を与える恐れもある。

カウンター商材の売上悪化を招く

 標準的なお店ならレジは2台が基本。そのうち1台をセルフレジにすると考えられるのがカウンター内で販売している商品の売上悪化だ。

 コンビニの利便性は店の狭さから「商品がすぐ手の届くところにある」のが要因としてあげられる。たばこを注文しても手を伸ばせば届く。揚げ物やおでん、中華まんといったファーストフードもレジに「人間」がいるからこそ、スピーディに提供できる。ピーク時には従業員が狭いカウンターの中を右往左往する光景はコンビニならではだ。

 その片方のレジがいわば「むじんくん」状態となれば、当然、たばこやカウンター商材の「買いづらさ」が生じる。当然、このカテゴリーの商品を買うには「この店は買いづらい」と感じる顧客はより快適に買える店に行くだろう。

 コンビニの売上構成比でたばこの占める割合が大きいお店は多いだろう。そこが落ちれば当然売り上げは減る。

 カウンター商材は粗利がいい商品が多い。その商品の売上が減れば利益が減る。オーナーにとってはあまり歓迎できる話ではないのではないか?

中高年顧客が逃げる!?

  コンビニではつい12,3年前までは決済は「現金」オンリーだった。しかし今ではどうだろう?電子マネーの普及、クレジットカードの受付が可能になった。キャッシュレス決済でのポイント還元をきっかけにPayPayなどのバーコード決済も急速に普及している。

 コンビニの中心客層はいわばコンビニで育った世代。若いころにコンビニを頻繁に利用していた人がそのまま歳をとり、中高年になっても利用し続けている顧客に支えられている側面がある。

 案外、昔からコンビニを利用し続けている顧客は「現金払い癖」がついているのかもしれない。そういった便利な支払方法もあるけど、結局は見慣れた店、買い慣れた店、知っている従業員がいるといった理由でコンビニに「安心感」を持って来店されるお客も多いだろう。

 その買い慣れたコンビニのレジが急に血の通わないセルフレジに変ったらどんな反応を示すだろうか?

  もちろん柔軟に使いこなす顧客もいるだろう。しかし、急にセルフレジがしゃべったり、画面が切り替わったり、アラームが鳴ったりすると「買いづらさ」を感じる顧客も必ずいるだろう。そうなるとその店への足が遠のく可能性は十分に考えられる。ちょっと遠いけど、ちょっと感じ悪いけど、対人でレジ対応する店に行ってしまう可能性は十分に考えられる。

客単価の低いお店には威力を発揮!?

  何もコンビニに人のぬくもりや安心感を求めにくる顧客ばかりではない。コンビニの利便性、すぐに買い物を終わらせる。コーヒー1杯、お茶1本といった顧客にはセルフレジは喜ばれるだろう。ピッとスキャンして電子マネーでサクッと買い物を済ませられる。オフィス街や大学といった比較的若者が多く、客単価が低いお店には重宝しそうだ。

 7月にはレジ袋削減の為、有料化を検討している業界において袋をいる、いらないを機械が聞いてくれるのは現場としてはストレス軽減にもなるだろう。決して悪いことばかりではないということは付け加えておきたい。最終的には消耗品などの経費削減につながる可能性は大いにあるだろう。

客単価の高いお店には絶対に不向き

 逆に顧客がレジにカゴに沢山の商品を入れてくるケースが多いお店には不向きだろう。慣れた人間の手で処理していく方が断然早い。

 また自動釣銭機も時には足を引っ張ることにもなるだろう。機械のつまりなどが発生すればたちまちピーク時には行列ができてしまう。まだまだ機械も人間の経験や勘から来る動作というものには追いつけない。計算やミスは少なくても、一人一人の顧客への対応や臨機応変に短時間で接客をこなす力はまだまだ人間の方がはるかに上。

 顧客がお金を出している間の袋詰めやFF商品の準備など時間を有効に使いスピーディに対応できるのも人間ならでは。基本コンピューターは相手からのアクションに対してそれに見合う答えを出す仕組み。だから相手が反応しないと機械も反応しない。人間は相手の顔色や表情、仕草や言葉遣いなどで「どんな顧客か?」を瞬時に判断できる。わかりやすく言えば、人間の方が「間」というものを工夫すれば埋めることができる。機械は相手のアクション待ちで「間」が生まれる。この「間」の時間というのは積み重なれば馬鹿にならないのだ。

 客単価の高いお店にとって、この「間」の積み重ねは最終的に顧客の「待ち時間の長さ」につながる。これを嫌うコンビニの顧客は非常に多い。

 となれば、当然その店から離れていく顧客も多いだろう。客単価の高いお店にとって客数は一人で減ればそれだけ売り上げのダウン幅も大きくなる。重大な問題だろう。

結局は「どこが先にやるか?」の腹の探り合い

 こういった現象はテストでセルフレジを導入している直営店で顕著に表れてる。恐らくどこのチェーンも同様の結果だろう。

 省人化と歌いながらも、これを導入すれば必ず売上、客数ともに減少傾向になる。これをわざわざ我先にやりますというチェーンはないだろう。

 となれば、問題になっている時短営業や24時間営業の見直しと同じように「どこが先にやるのか?」という腹の探り合いになっていくだろう。恐らく人手不足の解消どころかお店の死活問題になるわけで、どこも手を上げたくないのが本音だろう。

 この風潮がコンビニ業界がなかなか変化に対応できない要因だろう。そこにはコンビニ店のほとんどが加盟店のオーナーであるいう構造上の大きな問題があるからに他ならない。オーナーの利益を損なうようなことは本部は出来ないだろう。オーナーのやり手を失うというのはイコール店を増やせずに減少の一途をたどるしか道がなくなるからだ。店を増やすことで増益してきたコンビニ本部にとって、本当に曲がり角に立たされている状況だろう。本部は毎年最高益を叩き出しているのとは対照的にこうした問題への投資には足踏みしている。加盟店オーナーと本当に二人三脚でこの問題に立ち向かうチェーンは本当に表れるのだろうか?


 

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